美容師が教える!市販とサロンの白髪染めの違いとは?

そもそも市販とサロンの白髪染め、どう違うの?

成分や薬剤の違い

市販の白髪染めは、誰が使ってもしっかり染まるように設計されています。そのため、髪質や状態を問わず色が入りやすいように、アルカリ剤や過酸化水素の濃度が高めに設定されているケースが多くなっています。一方で、美容室で使われる薬剤は、髪の状態や白髪の量・色味の希望に応じてプロが調合して使う「オーダーメイド設計」です。カラーによるダメージを最小限に抑えるため、アルカリを弱めたり、トリートメント成分を配合したりといった配慮がされています。

また、市販の白髪染めは“誰でも簡単に”をコンセプトにしているため、刺激が強い代わりに失敗しにくい設計。しかし裏を返せば、髪が細い方やダメージが蓄積しているエイジング毛には過度な負担になってしまう可能性もあります。

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市販の薬剤は“万能だけど強め”。その人に合った優しさは、サロン薬剤のほうが細かく調整できるんです


染め方・施術方法の違い

白髪染めの仕上がりは、塗り方や放置時間によっても大きく差が出ます。市販のカラー剤はセルフで塗る前提なので、塗りムラや塗り残しが出やすいのがネックです。特に後頭部や内側の髪は見えづらく、染まりにくい部分でもあります。

一方、美容室ではプロの目で髪の状態をチェックしながら、均一に塗布していきます。さらに、根元・毛先で時間差をつけて塗る「塗り分け技術」や、薬剤の流し方・処理の仕方もダメージを抑えるために計算されています。

セルフカラーは「その場しのぎ」には向いていますが、髪全体の美しさを保ちたいなら、プロの施術がやはり有利です。

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後ろから見てもツヤっと均一に見えるのがサロンカラーの魅力。ムラなしの仕上がりはやっぱり技術なんです


仕上がりや色持ちはどっちがいい?

色味のバリエーション

市販の白髪染めは、薬局やネット通販などで手軽に購入でき、最近ではカラー展開も増えてきました。ただし、基本的には「ナチュラルブラウン」「ダークブラウン」など定番色が中心で、微妙なニュアンスカラーを選ぶのは難しいのが実情です。しかも、箱の色見本と実際の仕上がりが異なることも少なくありません。

一方で、美容室での白髪染めは、プロの目で肌色や髪質、ファッションとのバランスまで見極めてカラーを提案してくれます。「赤みを抑えたい」「白髪を活かしてハイライト風にしたい」といった細かなオーダーも対応可能です。さらに、白髪の量や生え方によって薬剤や配合を変えることで、より自然な仕上がりが実現します。

最近では、白髪をしっかり隠すだけでなく“ぼかす”染め方が注目されており、これもサロンでしかできない高度なカラー技術です。

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“ただのブラウン”じゃ物足りない!肌や印象に合った色を提案できるのがプロの強みです


色持ちの差とダメージの出方

市販の白髪染めは、染料の浸透力を高めるために強めの成分が含まれており、染めた直後の発色はきれいに見えることもあります。しかし、その分退色が早かったり、パサつきが出やすいという弱点も。特に、毛先が傷んでいると色が抜けやすく、1〜2週間で白髪が目立ち始めるという声も多く聞かれます。

サロンでのカラーは、前処理・中間処理・後処理などを通じて髪のコンディションを保ちつつ染め上げるため、色持ちの良さに差が出ます。さらに、髪の内部構造を保護するトリートメント成分も併用することで、退色やダメージを防ぎながら美しい状態を長く保てます。

また、サロンカラーでは根元・中間・毛先の色味のバランス調整も可能なので、次回のカラーにもつながる「計算された仕上がり」が手に入るのもポイントです。

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色持ちや髪の質感まで考えると、サロンカラーはやっぱり“長期的に得”なんですよね


髪や頭皮への負担、安全性は?

アレルギー・刺激のリスク

白髪染めを繰り返す中で、多くの人が気にするのが頭皮のヒリヒリ感やかゆみです。特に市販の白髪染めは、誰にでも染まりやすいように設計されているため、アルカリ剤や酸化剤が強めになっていることが一般的。そのため、頭皮が敏感な人やアレルギー体質の人にとっては、刺激になりやすいのです。

パッチテストの重要性は、市販品にも大きく書かれていますが、実際には「面倒でやっていない」という人も多いのが現実。万が一アレルギー反応が出た場合、炎症・かぶれ・腫れなどのトラブルに発展することもあります。

一方、サロンではカラーの前にカウンセリングで肌状態を確認し、頭皮を保護するクリームやオイルを塗布してから施術するなど、安全面への配慮がなされています。また、施術中の異変にもすぐに対応できるため、敏感肌の方ほどサロンでの施術が安心です。

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一度アレルギーを起こすと、次から染められなくなるケースも。自己判断せずプロに任せてほしいですね。


エイジング毛への配慮

年齢を重ねると、髪はだんだんと細く・乾燥しやすく・ハリがなくなるなど、いわゆる“エイジング毛”の状態になっていきます。そうした髪にとって、市販の強い薬剤は負担が大きく、ゴワつき・枝毛・切れ毛を引き起こす原因になりかねません。

サロンでは、エイジング毛に特化した薬剤や、低アルカリ処方・酸性カラー・トリートメントカラーなど、髪質に合った施術が可能です。さらに、ダメージが進行している部分には事前にトリートメント処理を行うなど、髪を守る手間も惜しみません。

また、白髪染めと同時に「ハリ・コシを出すトリートメント」や「ボリュームアップケア」など、年齢に合わせた総合的な施術提案ができるのも美容室の強みです。

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40代以降の髪は“染めるだけ”ではなく“守りながら染める”ことがとても大事なんです。


コストや手間はどちらが得?

市販のコスパと注意点

市販の白髪染めの最大のメリットは、やはり手軽さと安さ。ドラッグストアやネット通販で1,000円前後から購入でき、好きなタイミングで自宅で染められるため、コストも時間も節約できます。特に「生え際だけちょっと染めたい」「今すぐに目立つ白髪をなんとかしたい」といったときには非常に便利です。

しかしながら、セルフカラーにはリスクも伴います。塗りムラが出やすい、見えない場所が染めにくい、放置時間の調整が難しいなど、仕上がりにバラつきが出やすいのが現実です。また、同じ部分を何度も染め続けることで蓄積ダメージが深刻化し、髪がパサついてしまうというケースも少なくありません。

さらに、1回あたりのコストは安くても、月に何度も染めることになれば、結果的に髪への負担やケア代がかさんでしまうことも考えられます。

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市販カラーは“今すぐ染めたい!”というときの応急処置。長期的に見れば必ずしもお得とは言えないんです。


サロンのコストと価値

美容室での白髪染めは、一般的に5,000円〜10,000円ほど。カットやトリートメントを含めれば、さらに料金は上がります。確かにコストだけを見れば、市販の数倍になることもあります。

しかしその分、プロの技術・髪質に合わせた施術・トータルケアの提案など、価格以上の“仕上がりの満足感”や“安心感”が得られるのが特徴です。ダメージを最小限に抑えながら、美しいツヤと持ちのよいカラーに仕上がることで、結果的にカラーの頻度を減らせたり、ヘアケアのコストが抑えられる場合もあります。

また、美容室では「次に伸びたときにどう見えるか」まで考えたリタッチ設計や、「白髪をぼかすデザインカラー」などの選択肢も豊富。これはセルフでは再現できない技術力です。

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コストだけで比べず、“どう見えるか・どう保てるか”を考えると、サロンの価値はむしろ高いと感じてもらえるはずです


こんな人にはサロン染めがおすすめ!

「色のムラが気になる」「白髪が多い」人

白髪の量が増えてくると、自宅で染めるのが難しくなる原因のひとつが“色ムラ”です。特に、生え際や分け目・後頭部の見えない部分は、自分で均一に染めるのが難しく、染め残しや濃淡の差が出てしまいがちです。しかも白髪は色が入りにくいため、部分的に明るく浮いてしまう失敗もよくあります。

美容室では、プロの技術で一人ひとりの白髪の量や位置を確認しながら、細かく薬剤を塗り分けることで、ムラのない仕上がりを実現します。また、染まりにくい白髪にも効果的にアプローチする技術や薬剤選定が可能です。

白髪の量が多いほど、均一な仕上がりは見た目の清潔感や若々しさに直結します。だからこそ、白髪が気になり始めたときこそ、サロンの力を借りるべきタイミングとも言えるのです。

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白髪の量が増えるほど、セルフでは難しくなるのが正直なところ。ムラなく自然に染めたいならサロン一択です!


「肌が敏感」「髪が細くなってきた」人

年齢を重ねるとともに「頭皮がヒリヒリする」「染めたあとにかゆくなる」といった敏感肌トラブルが起きやすくなります。また、髪が細く・やせてくる「エイジング毛」も増え、刺激の強い市販薬剤ではトラブルや傷みにつながるリスクが高くなってきます。

美容室では、肌が敏感な方には頭皮を保護するクリームやオイルを塗布し、刺激を軽減。薬剤も低刺激・低アルカリ処方のものを選んだり、塗布テクニックで直接触れないようにしたりと、安全に配慮した施術が行われます。

また、エイジング毛にはハリ・コシを出す補修ケアと同時進行できるのもサロンの魅力。髪と頭皮を“守りながら染める”ことができるため、将来的な髪の健康を考えるならサロンでの施術がおすすめです。

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40代以降の髪と頭皮は、とっても繊細。安心して染められる環境で、やさしくケアしてあげたいですね


こんな人には市販染めもアリ!

「部分的にサッと染めたい」人

「分け目の白髪だけが気になる」「前髪の内側だけにチラホラ白髪が…」といったケースでは、全体を染める必要はなく、部分的なケアで済ませたいという方も多いはず。そんな時に便利なのが、市販の部分染めアイテムです。

ヘアマスカラ・白髪用リタッチクリーム・ワンプッシュタイプの部分カラーなど、使い切り・少量タイプの市販品は、気になるところだけをサッとカバーするのに最適。コストも抑えられ、時間も短く済むため、「とりあえず目立たなくすればOK」という緊急対応にぴったりです。

ただし、あくまでも“つなぎ”の対応。数日〜1週間程度で色落ちするものが多く、長期的に美しい髪を保つには定期的なケアやサロン施術と併用するのが理想的です。

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“次の美容室までのつなぎ”としての市販カラーは全然アリ!でも、メインはプロに任せてほしいですね


「忙しくて美容室に行けない」人

仕事や家事・育児に追われて「美容室に行く時間が取れない…」という方には、市販カラーが自分のペースでできる時短アイテムとして重宝されます。特に最近は泡タイプや放置時間が短いタイプも増えており、より手軽さが進化しています。

「夜のうちにサッと染めておきたい」「休日に自宅でまとめてケアしたい」など、スケジュール優先で動きたい人には、市販染めの自由度は魅力です。

ただし、自宅染めはあくまで自己責任。染めムラや髪の傷み、頭皮への負担といったリスクがあることを理解して使う必要があります。「1回で終わらせる」のではなく、「次回の美容室までの調整」として考えるのがベストです。

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忙しいときのセルフ染めはOK。でも、時間ができたら“プロのメンテナンス”で整えてあげてくださいね


まとめ|あなたに合う白髪染めの選び方とは?

白髪染めには、「市販」と「サロン」の2つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが“正解”というよりも、“あなたに合った選び方”が大切です。

まず、市販の白髪染めは手軽さとコストパフォーマンスが魅力。ちょっとだけ白髪が気になる、応急処置として使いたい、という場合には便利な存在です。忙しくて時間が取れない人にも、一時的な選択肢としては◎。

一方、サロンでの白髪染めは仕上がりの美しさ・色の持ち・ダメージケア・安全性に優れており、長期的な満足度が高いのが特徴です。白髪の量が増えてきた方、敏感肌や細毛に悩む方、自然な仕上がりにこだわりたい方には、プロの技術による施術が断然おすすめです。

また、最近では「市販でリタッチ → サロンで全体カラー」といった使い分けスタイルも定着しつつあります。必要に応じてうまく併用しながら、自分にとって無理のないペースで白髪染めを取り入れることが、美しい髪を保つコツです。

最後に、悩んだ時にはぜひ美容師に相談してみてください。髪の状態やライフスタイルを見て、最適な染め方を一緒に見つけることができます。

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“染める”ことがゴールじゃなく、“きれいな髪でいたい”という気持ちが大切。その想いに寄り添う方法を一緒に探しましょう。

この記事を書いた人

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fiica 田畑 裕大

くつろげる癒し空間で、経験豊富なトップスタイリストが一人一人に合わせたヘアスタイルをご提案させていただきます